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キツネのエンディング・ノート

ウサギさんの作品

チェックがらののつまみ細工.額に入れたら

周囲のすすけた壁にとけこんで,良い感じ.

 

 

🦊狐のエンディングノート (「戦争と軍国主義」シリーズを終わるにあたって)

 

「アメリカのアジア政策が85年前を想起させる訳」

 東洋経済2020年12月19日==「API地政学ブリーフィング」より

 細谷雄一/API研究主幹/慶應大学法学部教授

 

 API=アジア・パシフィック・イニシアティヴ)

 

 🦊『2020年7月23日のポンペオ国務長官演説では、中国共産党体制そのものを

 

 激しく批判し、1927年のニクソン訪中以来続いてきた対中"関与"政策を大きく

 

 修正するものとして、報道された。・・戦後、中国を過剰に信頼していたアジア政策

 

が誤りであったとして、マクマリーが提唱した政策変換論が、85年後の今日、

 

蘇えろうとしている』と筆者は説く。

 

『現在のトランプ政権において、ポッティンジャー副補佐官、そしてポンペオ国務長官

 

は、このマクマリーのアジア政策を復活させようとしているように感じる。・・

 

ただし、マクマリー・モーメントを実現させようとする場合に2つの条件がある。』

 

🦊要約すると、1。戦前の日本の、国際的な孤立主義の歴史を適切に認識すること。

 

2。日本がアメリカの戦略的なパートナーとして、この地域の平和と安定に積極的な

 

役割を担う十分な能力があること。

 

そのためには「日本独自のパワーを持つことが必要だ」と結論付ける。

 

『ただし、ここでのパワーといっても、米中と同水準の軍事力を備えることは

 

不可能だ。むしろ、「シビリアン・パワー」としての日本のこれまでの行動が、

 

この地位での信頼を築いてきたことを想起せねばならない。私はそのような軍事力と

 

「シビリアン・パワー」を組み合わせた日本独自のパワーを「グローバル・

 

シビリアン・パワー2.0」と位置付けた。』

 

『現在の日本は、「自由で開かれたインド太平洋」構想を提示して、広域的なインド

 

太平洋地域における平和と繁栄のために貢献する意思を示している。また、安倍政権

 

は「積極的平和主義」を掲げ国際的な安全保障政策を志向して、この地域で従来よりも

 

大きな役割を担う意思を示してきた。日本が、より自律的な戦略的プレーヤーとして

 

活動することができれば、日米同盟をより中核的に位置づけて、この地域の平和と

 

安定のためにより一層大きな貢献が可能となるであろう。・・

 

アメリカは、1世紀ほど前には、中国が民主主義国家として発展し価値を共有する

 

パートナーとなり、米中両国を基礎とした地域を作ろうと試みた。(今回のポンペオ

 

演説の中国攻撃は)そのようなこれまでのアメリカの期待が大きく裏切られたことを

 

強く示唆した内容であった。もしも日本がアメリカの戦略的なパートナーとして、

 

従分な信頼と必要な能力を示すことができるならば、日米協調を基軸とすることで、

 

この地域における平和と安定を確立するという「マクマリー・モーメント」が

 

いよいよ実現へと向かっていくのではないか。』

 

 

*********************

 

🦊これらの説に対し、キツネは大いなる疑問を抱いていることを最初に言っておく。

 

●積極的平和主義とは何か?安倍氏は各国首脳と膝付き合わせて語り合うなどと

 

いう芸当ができるのか?核の傘を積極的に利用して、中国や北朝鮮を黙らせるって?

 

ふーん・・・どうせ安倍式「良さげな造語」で意味はないんだろうと、我々のような

 

そこらの老人は相手にしない。

 

 「アジアの平和と安定」と聞くと、何やら「大東亜共栄圏」の匂いが染み付いた

 

大言壮語集の一項目という気がする。大袈裟に言えば、天皇を米国政府と言い換えた

 

だけのような・・

 

アメリカの戦略的パートナーとしての十分な能力って?しかもそれは軍事パワー

 

ではなくて、シビリアン・パワーだという。具体的にはどういうパワー?

 

"シビリアン・グローバル・パワー"とは・・・

 

「ガラパゴス・クール」(船橋洋一他・東洋経済新報刊)によれば、

 

21世紀のジャポニズム」なのだそうで、新しい日本の対外政策として

 

1。人間の安全保障概念=人間の生存、生活、尊厳を脅かすあらゆる種類の脅威

 

 に対し、引き続き政府開発援助、APEC等多国間の経済協力、国連に「人間の

 

安全保障基金」設置のための5億円の拠出、など、主として経済的な復興支援に

 

よって安全を保障しようとする。

 

 2。「法の支配アプローチ」=紛争の平和的解決とそのための「法の支配の強化」

 

平和維持アプローチ。曰く、「国際社会における法の支配の実現・強化、その際、

 

公平性、透明性、互恵性を基本とする我が国の理念や主張を反映させていく」

 

3。「海の平和」のための海上保安庁の活用。

 

例えば中国の尖閣諸島周辺での実行支配の動きに対して、日本が海上自衛隊の

 

艦船や航空自衛隊の航空機を用いて対抗すれば、軍事的なエスカレーションに

 

発展して、軍事衝突を引き起こすかもしれない。そこで、海上保安庁の対応能力を

 

向上させて「法執行としての」海洋警備を強化する。それとともに、東南アジア

 

諸国の領海警備能力の構築支援のため、阿部政権下で、防衛装備移転三原則が

 

 導入され、航空機や船の輸出もできるようになった。

 

これらの「非軍事」で「法執行による」アジアの平和維持政策が、いわゆる

 

「積極的平和主義」の中身であり、アジアの警察官として振る舞う日本の新しい

 

姿であると言い、しかもそれがアメリカの戦略的パートナーとしての能力と信頼を

 

勝ち取り、日米同盟がアジアの平和と繁栄の真の基軸となるだろうという。

 

慶應大学の研究グループは、例のゴルフ二人組が、各々失脚あるいは自主降板した

 

あとの2020年12月19日にこのようなズレた見通しを出し続けるのはどうかと

 

思うぜ。それに阿部政権への政策提言の結果がどうだったか、まだ反省もしていない

 

ようですが?

 

 13ODAや海上保安庁の能力強化については異論はないが、2の「法の支配」

 

とは、地政学的に言うとどうなる?沖縄のアメリカ軍事基地化は国際法に照らして

 

どうなんだ?

 

経済大国中国が仮にアフリカ沿岸のある国に軍事基地を置いたとする。中国は

 

2国間で交わされた合意に基づく」協力関係であり、違法ではないという。

 

米軍はドイツに核爆弾を何個か置いているという。NATOの中芯であるから、仕方が

 

ないとドイツ人は諦めているのだろう。北と南の朝鮮はいまだにケンカ中。大戦や

 

冷戦の後遺症は癒えておらず、国際連合の組織そのものはかつての戦勝国が取り

 

仕切っている。国際法とは、大国の利権を温存するための法なのか?新経済大国の

 

中国が、「内政干渉だ!」と連呼しても、せいぜい経済制裁で応酬するしかない。

 

 「法治国家日本」と胸を張るのはちょっと恥ずかしい気がする。法律音痴の政治家

 

集団、(公平性、透明性を基本とする我が国の理念や主張ですって?そんなもの

 

どこにある?)

 

法務大臣が大枚を配っておいて、「買収の意図はなかった」といい、総理大臣が

 

虚偽の「丁寧な説明」を繰返し、結局公設秘書が罪をかぶる。

 

前首相の悲願である憲法改正については、キツネの印象では、彼の軍事大国指向が

 

見える。祖父の岸信介の名誉回復のため、信介流「都合の悪い法は廃止し、

 

即都合の良い法を作り前へススム」方式を踏襲したいらしい。戦時中の国家総動員

 

法の最初の適用は、満洲国において、いわゆる「中国人狩り」による、中国人男子の

 

拉致、強制徴用であって、日本国内の兵員不足を補うため、「満州在住の日本国民」

 

の資格で強制的に徴兵したものらしい。(それで、華中から出稼ぎに来ていた中国人

 

は先を争って満州から逃げ出し、それを阻止するために日本軍は列車を止めた、

 

という話はこのシリーズにのせた)

 

2国間の安全保障が近隣全体の安全を保障するだろうか?その1国が軍事大国である

 

ならば、大国の利権を保障する(ついでに相手国をもその気にさせる)だけ・・。

 

まさに中国が世界大戦から学んだことは、賢い覇権主義の法則ではなかろうか?

 

そして日本が受け取った贈り物は「日本国憲法」という玉手箱であり、しかし学んだ

 

ことは民主主義でも法治主義でもなんでもなくて、「錦の御旗」と「格差社会」の復活

 

願望で、ついでに「アジアの平和」という昔の野望を持ち出してきた。非民主主義で

 

非法治主義なら「アジアの平和に貢献する」などは、まあ無理だろうね。

 

 

🦊というわけで、当分は核戦争の愚行は流石に(やっても儲からないから)実行不可

 

であろうが、ただしアフリカなどの反政府軍が核物質を盗み出し、小型核爆弾を

 

使い出す、などという(こっちは大いに儲かるから)ことはありそうだという。

 

どちらにしても、「脅し合戦」に""を使おうが、"経済制裁"を使おうが、地政学的

 

には正しいし、経済学的にも適切であるという、この学問のうさんくささ。

 

 

 2021年1月8日==朝日新聞  (追記)


(トランプ氏支持者多数が、米大統領選の結果を確定させる手続きを

 

阻止しようと、ホワイトハウス近くの会場に集まった。)

 

トランプ氏は演壇から、呼び掛けた。「ここにいる全員が連邦議会

 

議事堂に行き、平和的に愛国的に、あなたたちの声を聞かせるために

 

行進することを知っている」参加者は約2キロ離れた議事堂に向かい・・

 

敷地内に乱入。窓ガラスを破って議事堂内へ入った。・・

 

議会警察に撃たれた一人を含む四人が亡くなった.警察官1名も犠牲に

 

なった.

政権移譲まで二週間。記事によれば、「乱入の前には多数の共和党

 

議員がトランプ氏の求めに応じて、上下両院合同会議で選挙人の

 

投票結果に異議申し立てを予定していた(国民投票に不正があった

 

という理由で)が、事件を経てその勢いは急速に衰えた」

この事件のテレビ報道では、集まった支持者たちの、晴れ晴れとした

 

顔色とこの乱入に参加できて光栄であると口々にいう姿があった。


遠くない昔に、コソボだったか?東欧の内戦で、村の拡声器から

 

流れる「声」=「隣人を殺せ!」に操られて、普段仲良く暮らして

 

いた異民族のお隣り同士が殺し合い、家族内の異民族出身者をも

 

殺すという悲劇があった。


第二次大戦では、〇〇提督の「殺せ!殺せ!ジャップを殺せ!」の

 

アジ演説が、お疲れ気味の米国民を奮い立たせた?とか。


東條秀樹は、戦陣訓で「敵の捕虜になってはならん。その前に腹を切れ.


それが大日本帝国軍人の潔さである」とか曰うたが、「軍人」の範疇

 

にも入らない百姓や大工出身の兵隊までもがこれに従わされ、敵に

 

追い詰められ、崖から飛び降りたり、手榴弾で自殺したりした。

人間て、酒がなくても「言葉」で酔っぱらう、それも命がけで

 

酔っぱらうものらしい。

 

 

     っl

さて、狐は、「個人としての自覚」が明治期のどの辺に芽生えたか、

 

と言う疑問を持っていた。と言うのも、狐の好きな小説家は

 

夏目漱石ただ一人だからだ。彼は紛れもない現代人であり、

 

それゆえの懊悩も抱えていた。経済発展・軍備拡張・

 

日本オバケ帝国の世界制覇の幻影に有頂天な政治家と軍人共に

 

引きずられる世間に、真っ向から反対していた。

 

 

「日本が今、滅亡の憂き目にあうとかいう国柄でない以上は、

 

そう国家国家と騒ぎ回る必要はない。国家の平穏な時には、

 

徳義心の高い個人主義にやはり重きをおく方が、私にはどうしても

 

当然と思われます」と漱石は言う。(当ブログ、「軍国主義は死なない」

 

 

参照、朝日新聞記事による)

 

 

l

 

どうしても切り離せない日本人が大半だろう。それが幕末の開国を

 

めぐる国家滅亡の恐怖の時代ならばともかく、現代の自称「安全保障

 

は完璧この上なし」の時代にあっても、「隣の敵に征服されるぞ!」

 

「それ宇宙軍だ!」とか忙しいことじゃ。その上、「地政学を学べば、

 

経済はV字回復=軍備増強間違いなし」ときた。

 

で、漱石の言う「徳義心の高い個人主義」とは、「国家国家と騒ぎ

 

回る」、「株価、株価と騒ぎまくる」時代には芽生えても生育が難しい。

 

それがようやくさしかかったのが、現在、つまりは

 

侵略戦争の罪を隠さずに認め、「平和憲法」の実現を公約し、

 

真っ当な個人主義を重んじる政治への「折り返し地点」だと思う。

 

多くの国民がこれを支えれば・・ね。

 

 

  そうそう、エンディング・ノートだっけ!こんな悪口ばかりじゃ、

 

良くないよね。

 

未来は見通せないが、いずれ火星に植民するんだとか・・・。

 

それで古いガラクタは捨てていく。(例えばガラケーや紙の預金

 

通帳やハンコのように)使い古した地球も 捨ててしまう。人間も、

 

宇宙船に乗れる人と乗れない人の選別が進んでいくらしい。

 

(昔、"地球最後の日"なんていう映画があったなー。自分が投資した

 

宇宙船に乗ろうとする金満家(アメリカ人)が、怒った群衆によって

 

引きずり下ろされてしまう。最後の宇宙船は出航した。

 

巨大な彗星が頭上に迫っている。地球最後の日・・)

 

 

どっちみち今より住みにくくなる。だから今が一番良い時期なのかも。

 

コロナがあってもね。

 

できるだけは生きていたい。でも、一切未練はないね。

 

 

 

以上

 

 

 

うちの庭の住人。えさ待ちらしい。  ヤモリ君