🦊:前書きの後書き
出版物ならば、まえがきはあらかじめ用意しておくか、
または書き直す(気の利いた文章に)するだろう。
あとがきは、出版応援陣への感謝を含め、最後に書く。
ブログに前書きも後書もないが、ターゲットがある
のは間違いない。このシリーズのターゲットは
「死の商人」だ。
2021.9.7. 追記
🦊2018年4月17日===ロイター(東洋経済`NET`)
「あからさまな武器商人トランプの危険な内幕」より
「この(トランプの)政策は、海外向けの武器売却により、
さらに数十億ドル獲得するために、大統領や閣僚から大使館の
外交官に至るまで、「政府一丸」となって後押しするものだと
米当局者は話す.
さらには面倒な手続きを簡略化し、協定を結んでいる同盟国
の日本や韓国だけでなく、NATO加盟国やサウジアラビア、
その他の湾岸同盟諸国向けの広範囲な武器売却において、
契約承認を早めることを求めている。詳細の多くは機密扱いに
なるという」
「この恩恵を受ける企業には、ボーイングのほか、防衛機器
大手のロッキード・マーチン、レイセオン、ジェネラル・ダイナミクス、
ノースロップ・グラマンが含まれる」
🦊この記事は転載禁止なので、キツネの下手な漫画で補足したい.
要旨:(昨年11月の日本の訪問で、米国兵器をもっと購入する
よう公式の場で安倍晋三首相に直接要請した.
最近では、サウジアラビアのムハンマド皇太子との会談で、
売却された米国製ジェット機や艦船、ヘリコプターなどの兵器の
写真パネルを前に、米国製軍用品を記者団に自慢して見せたが、
其の傍で皇太子は笑みを浮かべて座っていたそうだ)・・・
2020 11. 13
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2020年10月===NHK「世界のドキュメンタリー」より
幼いイエメンの男の子が涙ながらにいう。「アメリカが、
サウジに武器を売るのをやめて欲しい!」と。
夜も昼も爆弾の雨が降り注ぐ街。ちょうど結婚式に集まっていた
人たちを爆弾が直撃した。何人もが死んだ。いわゆる「誤爆」が
頻発しているらしい。
サウジアラビア政府は、国境付近でイエメンの反政府勢力軍が
暴れるのを排除したい。そこで米国から最新鋭戦闘機を買った。
どこの戦闘機からの誤爆かはっきりしないが、砲弾の破片からは、
米国製であることが分かっている。
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「死の商人」 岡倉古志郎著==1999年=新日本出版社刊
p125==デュポンーー火薬から原水爆へ
(第一次大戦中、デュポンは、連合国が使った弾薬の40%を供給
したが、その後もアメリカの軍当局に対する軍事用爆発物の主要な
供給者であった。戦時中、デュポンの使用労働者数は、5千人から
10万人に増えた。1914年にデュポンが生産した火薬の量は、
226.5万ポンドだったが、翌1915年には連合国からの注文が
殺到し、其のため生産高は1.05億ポンドに激増した。1916年に
は、前年の約3倍の2.87億ポンド、さらに、1917年にアメリカが
参戦するやいなや、生産高は一層増加して、3.87億ポンドとなり、
1918年には3.99億ポンドとなった。戦争の4ケ月間にデュポンは
年平均5800余万ドルの利益をあげた。これに対し、戦前の4ヶ月間は
其の約10分の1ーー609万ドルに過ぎなかったのである。・・・
(デュポンはこれまでに何回か「スキャンダル」の対象となっているが、
其の一つが1930年の事件である)
話は少し以前に遡る。ヴェルサイユ条約が世界平和を確立すること
に失敗して以来、国際連盟は、数年間ぶっ続けで毎年のように会議を
開き、広汎な軍備縮小を実現しようと努力していた。1925年、
国際連盟は、ドイツが秘密のうちに再軍備を進めているという情報に
驚いて、第一回軍縮会議を開くことになった。この会議では、武器、
弾薬、その他軍需品の国際取引の制限の問題が取り上げられるはずで
あった。
この軍縮会議が開かれることになってから、デュポンその他の軍需会社
は、当時の商務長官での後に大統領となった共和党の領袖ハーバート・
フーヴァーからワシントンへの招請電報を受け取った。其の電報は
「来るべきジュネーヴ会議で討議されるはずの武器、弾薬、その他軍需品
の国際取引の制限に関して、商務省当局としては、関係業者の意見を聞き
たいから、準備的な討議に代表を送っていただきたい、軍縮に関する草案
は別に郵送したからご覧を願いたい。当局としては業者の利益を保証する
ことに十分留意している」というものだった。
・・・(軍需工業界の各代表は、協議の対象となった軍縮草案に対しては、
満場一致で反対したという)
ところで、ジュネーヴに派遣される政府代表の一人には、軍需局次長
ラッグルス将軍が極秘のうちに内定していた。この人事は秘密であった。
だが、ラモット・デュポンは、早くもこのことを知り、シモンズ大佐
を派してラッグルス将軍を訪ねさせた。・・・(シモンズ大佐からの
ラモット・デュポン宛の手紙には)大佐は次のように書いている。
「軍需品の国際取引に関する会議の結果について言えば、其の内容は、
我々が以前そうあるべきだと考えていたものとは、ずいぶん違っている。
それは軍需品製造業者の国際的取引にとっては、かなりの不便は
あるが、実質上、何等妨げになるものはない」。・・・
このようなことがあってのち、ジュネーヴ会議は開かれた。其の結果、
軍需資本家たちは、ある程度の制限を受けたが、にもかかわらず、それは、
軍需品の取引を全然不可能にするものではなかった.
p140「デュポンはナチを助けたか」
第二次世界大戦の末期、アメリカ議会の軍需品調査委員会は、次のような、
驚くべき事実を明るみに出した。それによると、1933年2月1日、
フェリックス・デュポンは、ジーラと称する人物と商取引上の協定を結んだ
ことになっている。このジーラという人物は、実は、本名をペーテル・
ブレンナーという国際的なスパイで、第一次世界大戦初期にはドイツのスパイ
としてドイツのためにアメリカで活躍し、1917年アメリカが参戦するや
否や、直ちにドイツとの関係を断ち、今度はデュポンの諜報員になったと
言われる人物である。ところでこの協定の内容は、火薬と炸薬とをドイツ及び
オランダの両国内の購入者に対して供給することにあったのであるが、この
協定の実行にあたっては、デュポンのパリ駐在代理人テイラーおよびケーンの
両名が当たることになっており、当時禁止されていたドイツへの軍需品の輸入
方法に関して、これ等の人々が秘策を練ったことが記録に見えている。例えば、
上院の軍需品調査委員会で、委員長ナイ上院議員の質問に対して、テイラー代理
人は答えているーー「オランダの河川を遡れば、軍需品をドイツに送り込む
ことは、途中、何の取り調べもないから、極めて容易なことである」。・・
そればかりでなく、この契約は、ドイツ国内における火薬及び炸薬の販売にまで
及んでおり、しかも其の際、ウェルサイユ条約の規定は些かも考慮されて
いなかったという。デュポンは其のドイツの盟友IGファルベンとの密接な
関係をも維持していた・・「デュポンとIGファルベンとは、一個の紳士協定
を結んでいた。かの協定によれば、一方は他方に新しい製造方法や新しい製品に
関して優先権を与えることになっていた」。全世界を三大分していたデュポン
(アメリカ)、ICI(帝国化学工業ーーイギリス)、IGファルベン(ドイツ)
の3大化学トラストは、戦時中も何とかして緊密な友好関係を保とうとした
ばかりでなく、戦後も、どちら側が勝ち、あるいは負けるにかかわらず、戦前の
友好関係を回復しようと考えていたようである。・・・
これはまさに「売国的」であり、「スキャンダル」であろう。だが、デュポン
自身は無論、この事実を徹頭徹尾否認している。・・
p143ーー「1年1ドルで国家に奉仕」
それはさておき、デュポンと第二次世界大戦との深い関係は、原子爆弾の生産を
除外しては、考えられないであろう。
「マンハッタン計画」(原子爆弾生産計画)が密かに計画された頃、この計画の
中心人物レスリー・グローブス中尉は、ウィルミントンへやってきて、デュポン
の首脳陣に、彼の計画の輪郭を打ち明け、デュポンの協力を求めた。(中略)
(軍部がデュポンに目をつけた理由は、1。これまで独自のシステムを構築する
ことに慣れている。2。また、極めて多方面的、包括的な機能をもつ。3。爆発物に
関しても豊富な経験を持っている。4。陸軍省はデュポンを良く知り抜いており、
長い年月にわたって親しい関係を保ってきている。(ジョン・ガンサーによる)
こういう理由から、陸軍省は、真っ先にデュポンに白羽の矢を立てたのだった。
だが、これに対して、デュポンは、最初あまり乗り気でなかったと言われる。
「自分たちは化学者であって、物理学者ではない」と言うのがデュポンの答え
だった。しかし、結局、デュポンは条件付きで「マンハッタン計画」に参加する
ことになった。其の条件とは、
1。この計画につき、特許権申請をしないこと、2。計画を引き受ける手数料は
年額1ドルに留めること、であった。全く素晴らしい条件である。デュポンほど
立派な、損得を無視した「愛国者」はどこにもないように思われた。「ア・ダラー
・ア・イア・マン」(1年1ドルの男)と言う言葉は、ここから生まれたのだが、
この言葉が軍需資本家、「死の商人」の別名として使われるのは、デュポンに
してみればまさに、けしからぬことであろう。
デュポンは、シカゴ大学の監督の元に、まずテネシー州クリントン、つまり
オークリッジの付近に試験工場を建設し、ついで、ワシントン州ハンフォードに
3.5億ドルの巨費を使ってハンフォード・プルトニウム工場を建設した。「これまで
世界で企てられたもののうち、最も大規模な、また最も困難な工業企業は、
こうして実現されたのである。
最も、これ等の巨額の費用はデュポンが自腹を切ったわけではない。全て国費である。
p145==「原水爆時代」
戦争は終わった。だが、アメリカの「死の商人」の前には、新しい分野が開けた。
それは、核兵器生産の分野である。
1946年に「原子力法」が制定され、この法に基づいて「原子力委員会」(AEC)
と言う国家機関が創設された。1947年1月、AECは陸軍から「マンハッタン
計画」を受け継いだ。引き継ぎの際明らかになったことは、過去7年間に原爆生産に
投下された経費が22億ドルの巨額に達していたと言うことである。その後、
「冷たい戦争」が展開されるに及んで、原子力予算は、まず年額10億ドル台になり、
ついで20億ドルを超えた。・・
原子力産業は、「死の商人」にとっては、最も素晴らしい活動分野であった。
何しろ、其の規模がどえらく大きい。年額20億ドルもの巨費が建設や運営の
ためにばら撒かれる。其の設備はといえば、USスティール、ジェネラル・
モータース、フォード、クライスラーの4つの巨大会社を合わせたよりも大きく、
数十万の技術者、労働者を擁している。ところで、この土地、建物、機械などの
固定設備は無論、AEC,つまり国家が賄うが、其の建設、運営はデュポンだとか、
ユニオン・カーバイド(ロックフェラー財閥系)や、ジェネラル・エレクトリック
(GE)(モルガン財閥系)のような巨大企業に任せられる。建設、運営を引き
受ける会社は自社製品を優先的に売り込み、据え付ける特権があり、また、運営の
代償として「生産費(コスト)プラス手数料」の原則で、AECに請求し支払いを
受けるが、この「手数料」は純然たる利潤だとAEC担当者さえ認めている。
このほか、運営にあたっていれば、科学技術上の機密が自然入手できるが、
これ等の機密は、将来原子力産業が民間に解放される場合には、ごっそりいただく
ことができる。
「死の商人」にとって、こんなボロ儲けの分野がかつてあったであろうか。・・・
原子力産業は「死の商人」にとってこのように魅力的なものであったから、
其の獅子の分け前をめぐる「死の商人」の角逐、競争は激烈を極めた。デュポンは
「マンハッタン計画」では、原子力産業に先鞭をつけたが、戦後モルガン財閥の
激しい食い込みに遭って一時は苦杯をなめた。モルガン系のGEはハンフォードの
プルトニウム工場の経営権をデュポンから奪取したからである。
だがデュポンに再び春が巡ってくる日がやってきた。1950年1月31日、トルーマン
大統領は、アメリカの原爆所有独占を打ち破ったソ連に目にもの見せようと
水爆製造命令を下した。其の年の8月2日、AECはデュポン・ド・ヌムール会社に
水爆製造工場の設計、建設、運営を任せる決定を行なったのである。
デュポンの引き受けたこの水爆工場「アメリカ南部のサウス・カロライナ州の
サヴァンナ・リヴァー・プラント」は、同州アイケン、バーンウェル両郡に
またがる25万エーカーの広大な土地に実に10億ドルの巨費を投じて作られたもの
である。こうして作られた水爆が1954年3月1日、ビキニで爆発する。
p170==恐竜は死滅させられるか
一人の馬鹿が道端に立って、槍や火縄銃を肩に担いだ
一隊の軍勢が行進してくるのを見ていた。兵隊がすぐ
そばを通りかかった時、馬鹿は尋ねた。ーー
馬鹿ーー「皆さんは一体、どこからおいでですか?
兵隊ーー「平和からだ」
馬鹿ーー「どこへゆくのですか?」
兵隊ーー「戦争へさ」
馬鹿ーー「戦争で何をするんですか?」
兵隊ーー「敵を殺したり、敵の町を焼いたりするんだ」
馬鹿ーー「なぜ、そんなことをするんです」
兵隊ーー「平和をもたらすためにさ」
馬鹿ーー「はて、おかしなこともある。平和から
やってきて、戦争に行く、それも平和を
作るためにだと。なぜ、はじめの平和に
止まっていないんだろう?」
ーーーーーーー(中部高地ドイツの伝承寓話)ーー
p173==生きている恐竜
第二次世界大戦がたけなわな1943年5月、アメリカの
評論家ウイリアム・アレン・ホワイトは、「有力な大会社が
戦線の両側で活躍していること」、「これ等の巨大な独占体
が、戦争を私的な致富の種に利用していること」に憤慨して、
次のように書いた。ーー「これ等の軍需工業独占体の国際的
結合は、ものすごい力を持ち、しかも、一片の同義心も
持ち合わせぬ恐るべき恐竜、怪竜の類である彼らは、この
巨大な爬虫類がはるか昔死に絶えたと信じられている現代
でも、なお、キリスト教文明の上にのしかかり、我が物顔で
世界を徘徊している」。
ホワイトが、「死の商人」を「生きている恐竜」、「生きて
いる怪竜」に例えたのは、まことに適切だと言わねばならぬ。
確かに、これ等の恐竜、怪竜は、まだ現代に生きており、其の
恐ろしい赤い舌の先から、絶えず戦争の脅威を吐き出している
のである。・・
これ等の恐竜や怪竜は、古くは普仏戦争、近くは第一次世界
大戦、さらには第二次世界大戦にかけて、ずっと猛威を
たくましくしてきた。我々が十分警戒を払わないならば、
彼らは、第三次世界大戦をさえ引き起こすかもしれない。・・・
(🦊これら死の商人の生態は、ほぼ次のようである。
1。彼らには祖国というものがあるようで無い。祖国とか隣人愛
とかいうものは無用の長物、何よりも大切なのは利潤である。
2。死の商人同士の間には極めて緊密な国際的結合があり、それは
互いの競争や弱肉強食によって妨げられるものでは無い。
3。彼らにとっての最大の敵は、本当の意味での平和である。
なぜならば、彼らの生命を維持するのに不可欠な血液は、戦争
ないし戦争準備だからである。
4。彼らはこれまでのところ「不死身」であった。彼らの国家が
戦争で敗れようと、彼らは戦争で荒れた廃墟の中からフェニックス
のように、いつでも蘇生してきている。クルップやIGファルベン、
日本の財閥などの「死の商人」の歴史は、以上のことを裏書き
しているようである)
p175 「死の商人退治論」
だが、この恐竜、怪竜の正体は、時代が進むにつれて人々の目の
前に、明らかにならないわけにはいかなかった。平和と正義を
愛する人々は、「死の商人」を攻撃し始めた。
それでは、「死の商人」を退治すべきであるとする人々は、
具体的には、どんな方法を考えていたのだろうか。
ある人々はこう言った「軍需工業を国有化ないし国営化するのが
一番だ。なぜなら、こうすれば,戦争の大きな原因となっている
国際的な武器の販売を制限できるからだ、と。
だが、例えばヒトラー治下のナチス・ドイツや1930〜40年代の
日本では、軍需工業も、名目上国家統制のもとに置かれていた
はずなのに、そこでIGファルベン、また財閥が何をやったかという
事実に照らしてみれば、国有や国家統制が問題を根本的に解決
しなかったことがわかる。問題は、誰が国有化の主体になるかに
よって決まるのである。「死の商人」が主体である限り、彼らが
自分の手で自分の息の根を止めるはずはない。
またある人は言った。ーー国際管理が最もいい方法である、と。
この思想も古くからある。例えば、1890年のブラッセル会議は
アフリカへの武器の輸出を禁止した。だが、これは、完全に失敗した。
其の証拠に、1896年、エチオピアは、有名なアドワの戦いで
イタリア軍を破ったが、このエチオピア軍の武器は、仏領ソマリーランド
を通じて密輸入された英仏製の武器だったのである。また、第一次
世界大戦後に国際連盟がやろうとした武器、軍需品の移動の国際管理
がやはり同様な苦い経験を踏んでいる。
では、なぜこのようなやり方がうまくいかなかったのか。
「死の商人」が其の代弁者を通じて猛烈に圧力をかけてきたからである。
次に其の一例を挙げてみよう。
(1930年、米、英、日三国は、海軍軍備制限条約に調印した。
当時のアメリカ大統領ハーバート・フーヴァーは、上院にこの条約の
批准を求めたが、突如、猛烈な反対運動が起こった。運動の主力
「海軍連盟」は、「この条約は、アメリカの安全保障を窮地に
陥れる」として、猛烈な反対運動を繰り広げた。
この「海軍連盟」の実態は何だったか。表面上は、軍縮反対論者、
大海軍必要論者の個人的なグループのような外見を呈していた。
だが、クロード・タヴェナー議員が議会で公表した調査の結果に
よると、この連盟の発起人には、18名の人物と1つの会社がなって
おり、其の会社というのは、政府が2000万ドルの装甲板を購入
したことのあるミッドヴェイル鉄鋼会社であり、個人の発起人の
中には、装甲板その他の軍需品を作っているベスレヘム・スティール
の社長チャールズ・シュワップ,海軍からの大量注文で巨大な利益を
あげているUSスティールのJ・P・モルガン、砲弾の生産に必要な
ニッケルを独占しているインタナショナル・ニッケルのR・M・
トムプスン、前海軍長官で退職後カーネギー・スティールの顧問
となったB・F・トレイシーなどが名を連ねていた。つまり、
「死の商人」たちが「海軍連盟」を作り、これを通じて、軍縮に
反対したわけである。
P178==「死の商人」は反駆する。
時代が進むにつれて、「死の商人」に対する非難の声は、次第に
大きくなってきた。これは、「死の商人」にとっては、見のがす
ことのできぬことである。なぜならば、彼らは自分の本質を見破ら
れることを極度に恐れるからである。だから、彼らは、自分の息の
かかっている新聞、雑誌、ラジオなどを通じて、本当の平和の擁護者
たちを徹底的にやっつけようとする。其の場合、「死の商人」たちは、
いかにも、自分たちだけが「愛国者」であり、自分たちに敵対する者は
「売国奴」、「妄想狂」、「空想家」、「赤」であると、口を極めて
非難するのである。彼等「死の商人」たちは、反対者たちが彼らを
「極悪非道の悪漢と呼び、世界平和に挑戦し、戦争を誘発する、科学や
技術の進歩を人類の幸福のためではなく、人類の破壊のために利用する
非人道的、反社会的な輩だ」と非難するのに対して、どう答えた
だろうか。
「自分たちは悪漢でも何でもない、自分は単に実業家としての慣行に
したがって取引をしているだけだ。たまたま、自分が武器を取引する
ためにとんだ非難を受けるが、自分たちと乗用車のセールスマンと一体
どこが違うのだ」。・・
あるイギリスの「死の商人」はこう言った。ーー「住宅建築会社では、
盛んに結婚を奨励する運動を行っている。それはたくさんの新夫婦が
できれば、それだけ住宅の需要が生ずることになり、会社は儲かる
からだ。我々が戦争をそそのかしたり、戦争を歓迎するのも、全く同じ
理屈なのだ」と。言いも言ったりである。彼はまた、こう言うーー
「我々が戦争の責任者だというのは、とんだ濡れ衣である。軍需工業が
戦争を生むのではなくて、逆に戦争の「体制」自体が軍需工業を発展
させるのではないか。国際的紛争の最後の手段として戦争行為を正当化
している現代の文明社会そのものこそ、戦争の究極の責任者なのだ。
現に、戦争をしでかす当事者は、我々ではなくて、政府であり、議会
ではないのか」。
さらに、彼は、一歩進めて、次のように開き直るのであるーー
「一体、宣戦布告する権限は誰の手の中にあるのだ。世界のほとんど
全ての国々の憲法は、宣戦布告の大権を政府ないし議会に与えている
ではないか。我々を非難するのなら、なぜこういう憲法そのものを
非難しないのか。それにまた、政府自身が、ナショナリズム、
ショーヴィニズム、経済対立、領土的野心、軍国主義などを煽って
いないと言えようか。してみると、これ等の要因と我々と比較した場合、
どちらが、戦争に対する権限を多く持っているだろうか」。
これはこれなりに筋の通った議論である。だが、クルップやIG
ファルベンが、どの様にうまうまとヒトラーをたらし込み、ナチス・
ドイツ政府を侵略戦争の道具に仕立てたかは、我々が既に知った
通りである。
この様な議論は、巧みに組み立てられた詭弁でしかない。
資本主義社会では、「死の商人」と政府、議会は相対立する
別の存在ではない。特に現代では、「死の商人」、つまり
独占資本は、国家機構を自分の道具として駆使しているに
おいておやである。
「死の商人」はまた、別の詭弁を使う。
それは、自分こそが「平和の友」であるかの様に装うことである。
デユポンは、「全世界が戦争に反対するならば、これほど
満足なことはない」と言った。この様な言葉は、果たして、
「死の商人」たちの本音であろうか。
彼らが内心で絶えず要求している「戦争」は、彼らの論理では、
まさに「平和」そのものから導き出される。其のことは、
この章の初めに引用した中部高地ドイツの寓話が、いみじくも
指摘している通りだ。彼らが好んで用いる論理は、「平和は
戦争準備によってのみ確保される」、「安全保障は武力の
裏付けなしにはありえない」というのである。この論理は
第一次、第二次両世界大戦前にも好んで用いられたし、
現在では「力による平和」「軍縮のための軍備」などの新装を
凝らして再登場している。
また、大量殺戮兵器を作り出すこと自身が、其の大量殺戮の
脅威によって戦争をなくす結果を生むのだ、と彼らは主張する。
例えば、次の様なエピソードはどうだろう。
1892年に、「ダイナマイト王」アルフレッド・ノーベルは、
平和運動に従事していた貧乏な作家(「武器を捨てよ」の作者)
べルタ・フォン・ズットナーに確信を持ってこう語ったのである。
「私のダイナマイト工場は、多分、あなたがたの運動よりも、
ずっと早く戦争を絶滅させるでしょう。というのは、
対抗する両軍が1秒間に全滅させられる様な爆発物ができたら、
文明国民は、きっと軍隊を解散するに違いないから・・・」
だが、ノーベルのダイナマイトより数十、数百万倍も強力な
原子爆弾が生まれ、さらに、其の何百倍もの破壊力を持つ
水素爆弾ができても、ノーベルの予想は実現しなかった。
逆に、「死の商人」たちはノーベルの論理を「核抑止力」
などという現代的な表現で再生し、巨額のドルを汲み出す源泉
にしているのである。
p182==恐竜の死滅
では、この様な怪物を退治することは、果たして不可能な
ことだろうか。
戦争と其の原因とを根絶し恒久平和を確立したいという
人類の熱望は夢でしかないのであろうか。
オットー・レーマン・ルスピュルト教授は、今から70年も
前に書いたーー
「私は、自分が全然悲観的だという印象を与えることは望んで
いない。なぜかと言えば、私は、前方に横たわる膨大な任務を
見て、意気が挫けたわけではないからだ。私たちは、このこと
に関連して、次のことを 思い出すべきである。ーー食人、
奴隷制、農奴制、拷問などの野蛮な慣行は 絶滅させられた。
しかも、最初これらに反対した人々は馬鹿だとか、犯罪者
だとか言われて蔑まれ迫害されたにもかかわらず、これ等の
野蛮な慣行はついに廃止されたのである。この事実を想起
すべきである」。
また、これまでたびたび引き合いに出したエンゲルブレヒト
博士は、第二次世界大戦前に次の様に言っていた・・・
「空は、再び、低く垂れ込めた戦雲で曇り、黙示録の4騎士は、
またも馬にまたがり、破壊と死とを後に残すべく疾駆し始め
ようとしている。だが、戦争は人間が作り出すものであり、
同時に、平和も、もしそれが到来するとすれば、やはり、
人間の手で作り出されるものである。だから、戦争及び
軍備を作り出すものの挑戦に対して、良識ある人々、
目覚めた人々は、断じてこの挑戦を避けてはならぬことは
確かである」。
これ等の良心的な学者たちが言ったことは正しい。それは、
現在でも妥当性を持っている。確かに、戦争は人間がつくる
ものである。人間が作るものならば作らぬ様にすることも
できるはずである。だから、エンゲルブレヒト博士が、
「死の商人」の挑戦に応えて立ち上がり、戦争の息の根を
止め、平和を自分の手で作りだせ、と訴えたのは正しいと
言わねばならぬ。「死の商人」はむろん、こういう
「不逞の輩」を「馬鹿」だとか「赤」だとか、「犯罪人」
だとかいうであろう。しかし、其の「馬鹿」や「犯罪人」
が数千人も、数億人もおり、しかも組織されているならば、
また、「馬鹿呼ばわり」や「犯罪人呼ばわり」にもめげず、
断固として行動するならば、まさに、平和は、これらの
「馬鹿」や「犯罪人」、つまり人民が作り出すのである。
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🦊キツネの「`net`つまみ食い」
自民党政府が「核の傘なくして平和なし」とか「核保有国と非保有国
との亀裂を埋める」ためには「核廃絶条約は役立たず」とかのたもう
あいだに,「死の商人」=軍需産業資本家どもは,はや100年も先の
利益を確保しかかっている.「宇宙時代の地球防衛」だって?時代遅れも
はなはだしい.敵は「宇宙人」ではなく,巨大な「宇宙塵」かもしれない.
または遠くのブラックホールからの重力波かもしれない.地球自身の
沸き返し,捏ね回し,陸と海の再構成であるかもしれない.そうなったら,
いつかアニメで見たような無人爆撃機がなんの役に立とうか?
バッカじゃねーの!!
AMNESTY INTERNATUINAL 2019年8月29日
国際事務局発表ニュース
「拡大する世界の武器取引」
武器貿易条約(ATT)は、アムネスティーなどのNGOが連携した
国際キャンペーン「コントロール・アームズ」による20年以上
にもわたる取組みから議論が開始され、2013年4月の国連総会で
成立、2014年12月に発効した。
ATTは、武器や弾薬などが、ジェノサイド(集団殺害)、
人道に対する罪、戦争犯罪に使用される、あるいは助長する
ことが明らかな場合に、国家間の武器移転を禁じる国際条約だ。
予測される武器輸出が、国際人権法や重大な違反を助長する
リスクがどれだけあるのか、その分析と評価が毎年、行われ
ている。
しかし、主要締約国の多くは、武器取引規制を守ると
言いながら、重大な人権侵害に関わる国への武器売却を
続けてきた。
以下に紹介する武器輸出入をめぐる数字や状況は、救いようの
ない事実を突きつける。数字は、ストックホルム国際平和研究所、
スモール・アームズ・サーベイ、ウプサラ紛争データプログラム
の各団体が収集したデータに基づく。
世界の武器関連金額
・2017年の世界の武器貿易総額は、少なくとも950億ドル
(約10兆円)。
・軍事関連企業の上位100社で、3,982億ドル(約42兆円)
の売上を記録。
・2018年の米国の軍事費は、世界全体の36%を占める。
主要な通常兵器の輸出入
・米国は、武器輸出国として突出する。主な輸出先は
サウジアラビアで、2014年から2018年までの5年間では、
総輸出量の22%を占める。
・2003年以降、世界の輸出量は毎年着実に増加し、冷戦
終結後、最高水準に達した。
・2014年から5年間の武器輸出上位5カ国は、米国、ロシア、
フランス、ドイツ、中国。5カ国の総輸出量は、世界全体
の75%を占める。
・同期間の武器輸入国は、上位からサウジアラビア、インド、
エジプト、オーストラリア、アルジェリアである。5カ国の
輸入総額、世界全体の35%を占めた。
輸出上位5カ国国別輸出先(調査期間は2014年〜2018年。
カッコ内の数字は、総輸出量に占める割合)
1. 米国:サウジアラビア(22%)、オーストラリア(7.7%)
アラブ首長国連邦(6.7%)
2. ロシア:インド(27%)、中国(14%)、アルジェリア
(14%)
3. フランス:エジプト(28%)、インド(9.8%)、
サウジアラビア(7.4%)
4. ドイツ:韓国(19%)、ギリシャ(10%)、イスラエル
(8.3%)
5. 中国:パキスタン(37%)、バングラデシュ(16%)、
アルジェリア(11%)
中東への武器移転(2014年〜2018年)
・その前の5年に比べ87%増加。
・米国の総輸出量の半分以上は中東向け。
・英国は59%。その大部分は、サウジアラビアとオマーン
向けの戦闘機。
サウジアラビアとイエメンへの武器輸入
・2014年〜2018年は、サウジアラビアが世界最大の輸入国で、
米国と英国からの輸入が圧倒的だった。
サウジアラビアの武器輸入は、2013〜2017年で225%拡大。
-
2014年〜2018年、サウジアラビアは、米国から戦車338輌、
-
オーストラリア、カナダ、フランス、ジョージア、
-
南アフリカ、 トルコの6カ国から装甲車など4千両以上を
-
輸入した。
小型武器と軽兵器
・世界には10億丁を超える銃が出回り、その大部分を市民が所有
する。
・市民100人当たり、米国ではおよそ21丁を所有する。
イエメンでは53丁、モンテネグロとセルビアで39丁、
カナダとウルグアイで35丁だ。
・2017年、ベネズエラとサルバドルでは、銃による死亡率が
世界 で最も高かった。
・今後50年以内に軍用ライフル、カービン銃、ピストル、
軽・重機関銃の生産が、世界で3,600万丁から4,600万丁に
達するとみられる。
人的損失
・この10年間の武力紛争での死者は、2,436,351人だった。
昨年1年では、77,320人だった。
・2017年、世界中で銃による犠牲者が急増し、およそ589,000人
の死者を出した。特に中南米とカリブ海の国々で顕著で、
深刻 な社会問題化した。
***********************
🦊:というわけで、どう考えてもアメリカは現在、死の商人の
筆頭であるらしい。特に、20年にわたるアフガニスタンへの
派兵を突然打ち切り、「他国の民主化は戦争では実現しない。
これからは外交と対話の時代だ」と宣言し、その口の乾かぬ
うちに、「米国は中国の脅威に立ち向かわなければならない」
と、世界の警察官といえども「両方は無理』の言い訳。
ならば、中国の民主化も対話と外交で成功させるつもり
だろうか?とてもそうは思えん。
これからは、中国の辺縁にあるアジア太平洋諸国に兵器を
ばら撒くつもりか。
この資料には出てこないが、日本の民間会社で、「軍事小物」の
製造輸出をしているところもある。例の「防衛装備移転三原則」
の閣議決定(平成26.4.1)が、防衛装備の海外移転や国際協力
に道を開き、「中期防衛力整備計画」(25.21.17閣議決定)が、
「我が国の『強み』として守るべき」機微技術の厳格な管理、
を推進し、防衛技術基盤戦略(26.6.19 公表)が、政府主導
の下、外国との積極的な装備・技術協力推進を明記するに
至った。
防衛省・防衛装備庁のHPより
・現在行われている主な防衛装備・技術協力案件
Fー35A戦闘爆撃機(次期購入予定105機)の整備拠点を設置
(米国)
2. オスプレイ日米共通整備基盤(米国)
3. 新たな空対空ミサイルの共同研究(英国)
4. 次世代機雷探知技術の共同研究(フランス)
5. UGV/ロボティクスのための画像による位置推定技術の研究
(インド)
2021 9 8
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🦊:軍縮を言いつつ武器を売る、これを現代版死の商人というなら、
次のような人間をどう呼ぶべきか。
YAHOOニュース 2021 8 13 青山弘之
「トルコで若者がシリア人を襲撃:「難民」、「傭兵」という
意図的、ないしは無意識的なレッテル貼りの弊害」より
トルコの首都アンカラのアルティンダー地区などで8月12日、
トルコ人の若者ら数百人がシリア人の商店や車などを襲撃し、
子供を含む多数が負傷した。トルコ警察に拘束されたのは、
76人、うち36人は、窃盗、麻薬所持、密輸などの前科がある
と報じられた。事件に関して、西側諸国、トルコメディア、
そしてシリアの反体制サイトは、「シリア難民が襲撃を受けた」、
「シリア難民がトルコ人を射殺したことへの報復」などと
伝えた。トルコ人の若者らによる襲撃を受けたのは、シリア
内戦での戦火や生活苦などを逃れて、トルコに移住してきた
人々。2014年10月に閣議決定された一時保護規則の適用対象
となっている「客人」や、正規の法的手段でトルコへの在住を
認められている在留資格者らである。
一方、シリア政府」寄りとされるイフバーリーヤ・チャンネル
は次のように伝えた。
・トルコ人数百人が、シリア国籍を持つ「エルドアン(トルコ
大統領)の傭兵」の家族らを襲撃し、彼らの商店や住居、車を
焼き討ちにした。傭兵一人の手によってトルコ人青年が殺害
されたことへの報復である・・
「難民」、「傭兵」ーー事件は、シリア人に対する意図的、
あるいは無意識的なレッテル貼りが、政治的なポジションを
如実に反映していることを再認識させる。こうしたレッテル
がもたらすネガティブなイメージが、シリアの人々を
「普通の人間」として見ることをときに妨げ、シリアを
めぐる様々な問題への解決への道をより困難に感じさせている。
🦊ナチスの軍隊で、一部占領地域の人々を傭兵とした話は
聞いているが、21世紀の現在、傭兵とは?と、思う。
AFP BB News 2020. 5 .24
「ロシア対トルコの代理戦争、舞台はリビアへ 多数の
シリア人傭兵」
シリアでは内戦の停戦合意によってロシアが支援する
アサド政権軍と、トルコが支援する反体制派の戦闘が
減少している。しかしそれと入れ替わる形で、両国出身の
傭兵たちは今度はリビアで戦闘を続けている。
トルコは、シリアでは反体制派の一部を支配し、リビア
では国連の承認を受けた国民統一政府(GNA)を支持して
いる。これに対しロシアは、シリアではバッシャール・
アサド政府とその政権軍をを支援し、リビアでは東部を
拠点とする軍事組織を率いるハリファ・ハフタル司令官を
支援している。
国連の最近の機密報告書によると、民間航空会社シャーム・
ウイングス航空が今年に入り、リビア行きの33便を運行した
ことが明らかになっている。これはシリア人の傭兵を輸送
したと考えられている。
リビアに科された武器禁輸措置を監視している国連の専門家
らは、この報告書の中で、「地上の情報源から推測すると、
(ハフタル司令官の)作戦を支援するシリア人傭兵は2000人
未満」と推定している。専門家らは、シャーム・ウイングス
航空でリビアへ向かったシリア人らは、ロシアの民間軍事会社
ワグネルとの間で3ヶ月の雇用契約を結んでいたとみている。
同社はハフタル司令官側について戦闘に参加する傭兵のfvb
採用活動を行っていたとされる。
(🦊:そら出た!人買いが!だが、続きを読んでみよう)
一方、ロシア政府はリビアにおけるシリア人傭兵の存在を
否定している。英オックスフォード大学の研究家サミュエル・
ラマニ氏は、シリアのアサド政権とリビアのハフタル司令官
にはトルコという「共通の敵」がいるとAFPに指摘した。
ラマ二氏によると、ロシアの狙いは「リビアでの戦闘を
激化させることで、トルコに2つの戦線への対応を強いて
展開を間延びさせ、それによりシリアでのトルコの軍事作戦
に対して、ロシアが優位に報復できることにある」という。
国連の専門家らは、リビアでGNAを支援するためにトルコに
雇われた戦闘員を含め、最大5000人のシリア人傭兵がリビア
にいる可能性があると指摘する。トルコはGNA支援要員を
派遣したことを認めているが、人数については明確にして
いない。
一方で英国に拠点を置くシリア人権監視団は、トルコが
リビアへ派遣したシリア人傭兵の数はさらに多く、約9000人
と推定している。中には未成年者150人も含まれているという。・・・
オックスフォード大学のラマニ氏は、シリア人傭兵の多くの
動機は、「貧困や失業、シリアの社会経済的喪失」からの
逃避だと話す。リビアでの民間軍事会社ワグネルと共に、
ハフタルロシアは司令官側について戦闘に参加しているという。
同じくハフタル司令官を支援する首長国連邦は、スーダン人
の傭兵を集めているという。諸外国によるリビアとシリア
への関与は、同国内での戦闘をそれぞれ激化させている。
AFP BB News 5月28日
「月給33万円のはずが・・賃金を搾取されるシリア人傭兵」
報告書
リビアや係争地ナゴルノ・カラバフなどの紛争地で戦う
シリア人の傭兵の多くが、賃金を搾取されているという報告書
が27日、発表された。彼らを外国の戦地に送り込んでいるのは、
10年間に及ぶシリア内戦で暗躍した2大外国勢力であるトルコ
とロシアのブローカーだ。
「シリア正義と説明責任センター(SJAC)」は、「真実と正義
のためのシリア人(STJ)」と組んで、搾取されるシリア人
傭兵の雇用状況について調査した。
シリア人傭兵のうち最も大きな割合を占めるのは、トルコの
北西部に流れ着いた元反体制派の戦闘員グループだ。一方、
シリア正規軍の元兵士や政権側の元戦闘員の一部は、ロシア
の民間軍事会社ワグネルなど、ロシア軍関係者によって
紛争地に派遣されている。
STJのバッサム・アフマド専務理事は、「多くのシリア人に
とって傭兵稼業が唯一の収入源となっている。国際社会が
その根本原因を解決し、関係者に責任を取らせなければ
ならない」と指摘する。
・月給33万円のはずが・・・
報告書には、リビアのナゴルノカラバフに送られた戦闘員
の多くは選択肢をほとんど与えられず、契約時に提示された
賃金のほんの一部しか受け取っていない事実が鮮明に
記されている。シリア反体制派出身の傭兵は、親トルコ派
の反体制組織による連合体「シリア国民軍」の傘下で緩く
つながっているが、「個々の戦闘員は常にSNA幹部に
搾取されていたという。
リビアで戦ったある傭兵は、「給料が3ヶ月間支払われ
なかった。前金で1人あたり3000ドル(約3万3000円)
要求したが、1000ドル(約1万円)しか渡されなかった。
残りは幹部が懐に入れた」と証言した。
契約時に提示された雇用条件は、月額3万ドル(約33万円)
と死亡時の遺族補償金7万5000ドル(約82万円)で、
トルコの市民権が約束されることもあった。契約書が作成
されることもあったという。
報告書は、トルコのために傭兵の募集を行っているブローカー
の「武装組織はいつも契約を破る」との証言を紹介し、
戦闘員が受け取れる月給は800〜1400ドル(約8千800円〜
1万5000円)と記している。
SJACのモハンマド・アブダラ専務理事は、契約通りの賃金を
支払わずに傭兵を外国の戦場での秘密作戦に従事させるのは
犯罪の温床になると指摘。リビアではシリア人傭兵による強姦、
性的目的の人身売買、誘拐が報告されているとして、「賃金を
カットすれば、ただでさえ法規を超越した存在を自認する
傭兵たちを更なる犯罪行為に走らせる」とAFPに語った。
・警備の仕事のはずが・・・・UAE企業、スーダン人をリビア・
イエメン紛争に斡旋か 2020年1月31日
アラブ首長国連合(UAE)の民間企業に警備員として雇用
されたはずのスーダン人6人が、実際はイエメンの紛争地帯に
送り込まれているとして、スーダンの首都ハルツームで今週、
親族らが抗議デモを行なった。スーダン外務省の前では28日、
数十人の男女が「息子たちは売り物じゃない」「息子たちを
返せ」と書いたプラカードを掲げて抗議していた。
AFPの取材に応じた複数のデモ参加者の証言によると、
発端は「ブラックシールド」という社名のUAE企業が警備員
としてスーダン人男性を雇用したがっているという求人広告で、
デモ参加者らの親族は複数の旅行会社を通じてUAEのビザを
取得したという。
「昨年8月20日にUAEに行った兄弟と、6日前から連絡が取れ
なくなった」と訴える女性は、「ソーシャルメディアで、
彼が他の人たちと共にリビアかイエメンに連れて行かれたと
いう書き込みを見た。情報がない。彼を返してほしい」と
語った。
別の男性は、「私の息子は昨年9月にUAEに行ったが、
10日前に音信不通になった。「今日になって息子から連絡が
あり、何人かと一緒にリビアのラスラヌフからアブダビに
戻されたところだと教えてくれた」と話した。
スーダン外務省は、UAE当局と協力して問題解決にあたって
いるとしている。
現地のAFP記者によると28日よる、アブダビから帰国した50人
ほどがハルツームのUAE大使館前で抗議の座り込みを開始。
男性らは、リビアとイエメンのどちらに行っていたかは明かさ
なかったが、問題のUAE企業に雇用された全員がスーダンに
帰国するまで座り込みを続けると宣言した。
国連の昨年12月の報告によれば、リビアの紛争にはスーダン人
武装組織5つと、チャド人武装組織4つが戦闘員数千人を
送り込んでいたとされる。(c)AFP
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🦊:シリアにおける、ロシアとトルコの代理戦争は、一応
停戦合意によって小休止だが、その間に、ロシアはシリア人
傭兵を送り込むなど、リビアでの戦闘を激化して、トルコが
二面作戦で困窮している間に自国軍の報復作戦を優位に展開
しようとする・・
一方トルコは、リビアで GNAを支援し、その配下に多数の
シリア人傭兵を送り込んだ。
そこでは、「人買い企業」が暗躍し、高報酬を餌に、職業も
なく食いつめたシリア人男性を狩り集め、おまけに給料の
ピンハネはする、・・という具合。
ロシア政府もトルコ政府も、政府の関与を一切認めようと
しない。ま、従軍慰安婦問題に関して、「あれは買ってきたんだ。
攫ってきたわけじゃない」として、「正々堂々の商取引だ、
何が悪い」というボケナスも案外多いのは、日本政府、いや、
日本人全般の現状。
NHKの国際報道あたりでも職なきシリア国民、シリア人家族
の悲惨な現状、といったウエットな訴えが目につくが、
「雇った側の悪」を追求する理論も、国際法の無力、国際協力
も何やら金と軍事力に換算される21世紀の人間界を解剖する
論は、はやらないらしい。
キツネに妙案があるわけではないのが残念。だが、「反戦」の
2文字を「おいぼれの妄想」などというなかれ。
2021 9 17
2022. 2. 4
🦊:アメリカ政府が、ヨーロッパのNATO支援のため
軍隊を派遣。“待ってました“とばかりの素早い行動ではないか。
このところ、米政府の外交向け発言は、ユーモアのかけらも
ない。何やら剥き出しの“世界の警官スタンバイOK!“みたいな。
“南シナ海の敵はひとまず置いといて、NATOが大変!“と。
プーチン政権の言う「どの家にも事情というものがある。
その訴えに一切耳を貸さずに、自己都合だけをがなり立てる、
米国の姿勢はいかがなものか?」にはユーモアとゆとりが
あるが、アメリカで自称世界の警察官を雇っているのは兵器産業
そのものだから、言葉遊びは不得手。
アメリカ政府のアバター氏は言う「軍隊による紛争解決の
時代は終わった。これからは対話による解決の時代だ!」
実は、アメリカは何者かに乗っ取られているんではなかろうか?
そうではなく、真に世界のリーダーだと言うなら、
兵器に頼らず、“対話による平和を“実現すべく、先頭に立つべき
だろうに。そのように願っているアメリカ市民も実は大勢いるの
ではなかろうか。・・そりゃー🦊どんの勘違いか・・・
ところで、「このやろう!」で始まるのを対話とは言わない。
たとえ対岸にいる相手でも、まずはユーモアをまぶして、「あんた
の話も聞こうじゃないか、一杯呑みながらどうかね」ぐらいは
言ってもらいたい。対話の好機をハズしてしまって、軍隊派遣
とはいただけない。
一方、仏、独、ポーランドの首相がプーチンに個別会談を申し入れ、
実現した。結果がどうであれ、これもプーチンの戦略の一環だろう。
明らかに、慌てたアメリカ政府の「誤爆」だ。
それにしても、親分の機嫌を損ねたくはなし、そうかと言って
プーチンと仲良しの中国を怒らせたくはなし、中途半端な
日本政府のLNGお裾分け作戦便乗もお笑いぐさ。
4輪咲いた日もある..
冬は近い.いそげ,いそげ.
野原では,この時期に2度めの
刈り込みが入って,秋の一年草は
種を残せない.だから春咲く
多年草のノゲシはいいが,
アキノノゲシは姿を消した.
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