お金はかからず、手間暇かかる、シリーズ
日陰の多い庭なら,どこかから拾ってきた石を組んで高低をつけるとよろし.
そこにホタルブクロなど,薄日があたれば花を開くような野草を植える.
翌年には,そこら中に根を張りめぐらして,うまい具合に咲いてくれる.
1. 窓際に食卓があったら、例えばヤブランとキンミズヒキのコンビで、長く楽しめる。キンミズヒキはどんどん花穂が長くなっていくし、新しい穂も咲きはじめる。ヤブランは色あせたら別の新しい穂と取り替えて。黄色と紫の取り合わせと、いつまでもあせない葉の緑が心地よい。
野草はビンの水と日光だけで成長しつづける。(8月~9月)
2.<つる植物>カラスウリは夕方6時頃から夜通し咲きつづけ、朝方萎んでしまうので、夏の夜のパーティーにうってつけ。ダウンライトの下あたりにひっそりと飾るのがいいでしょう。香りはまったく無し。(8~9月)
3.仲間同士のバーベキューパーティーなどに、ヘクソカズラで屋外のサイドテーブルを演出。もちろんビールが主役。(8~9月)
私はちっともくさいとは思わないんですが、なかには名前で差別する人や、特別匂いに敏感な方もいるので、蚊取り線香なんかを焚いておくといいかも?
4.センニンソウ (8~9月)
室内灯のせいで黄色味がかっているが、実物は真っ白で、香りが心地よい。強烈な香りではないが、食卓向きじゃないので、洗面室あたりに置くとよいでしょう。
採取した場所はそこらの公園の朝日の当たる斜面。何メートルものツルがお互いに絡み合っているので、適当に切って大きなビンに突っ込むしかない。(人によってはかぶれるという情報あり)
5.ガガイモ (8~9月)
ガガイモは草の姿が美しいのと、花も可愛くて香りもよい、葉がむやみに繁りすぎない、等で園芸植物になり花屋に苗が並ぶようになった。
でも空き地のフェンスに巻きついているのを採ってくることもできる。
つる植物は、長々とつながったのを切りとった後でどっちが頭か尻尾かわからなくなることがあるが、キツネはかまわず両方を水に突っ込んでおく。そうすると、中間で何ヶ所か新しい枝を出しかかっているのが急に勢い付いて、天をめざして伸びはじめる。十分水を吸ったら、枝分かれ部分の下で切って発根剤をまぶして赤土に埋めてておく。
(あくまでキツネ流だから、うまくいかなくても勘弁ナ!)
6.葛のツル
ドアに飾るリース、あれはキツネの趣味じゃないが、葉っぱを取り除いた葛のツルを生のうちにグルグル巻いて乾燥させておく。
冬に、庭のチャイニーズホーリーが赤くなるが早いか全部鳥が食べてしまい、とてもクリスマスまで保たない。でもそれでよし、鳥さんの好物だもの。代わりにいつまでも売れない万両とかを、うまく正月飾りにしてみようと思うのだが、まだイメージが湧いてこない。
7.<写真を撮る > ヌスビトハギ
萩とくれば、ひょうたんとか太い竹筒とか、あればよいが、あいにくキツネは持っていない。そこで摺鉢を取り出したが, どうやら違和感なく収まったようで・・
ヌスビトハギ: 豆科 ヌスビトハギ属。摺鉢に入れても 食べられない。
ヌスビトハギの花の寿命は短くて、午後1時には色あせ、萎んでしまう。これを撮るには朝9時半~12時の間にやるしか無い。こんな時間にのんきなことをしていられるのは。年金暮らしのジジババしかいないだろう。
8.謂わば出番待ちの楽屋。たとえば、アキノノゲシを道端で拾って鉢に植えたとする。順調に育って花芽をつけたところで、蛾の幼虫の巨大な芋虫に葉っぱを残らず食われてしまう。野草は葉っぱと共に鑑賞するものなので、ツボミだけじゃしょうがない。急いで代わりを植えて、今度は外に出さない。また、アカマンマだって大量に欲しいとなれば、何株か確保しておかなければならない。(公園も空き地も、いつ丸坊主にされるかわからないから)。こちらはめったに虫にくわれないから外におけるが。
毎年のように失敗しているのがワレモコウ。いろんな種類の芋虫が寄ってたかって茎や新芽を食い荒らすし、ウドンコ病にも弱い。今は9月だが、今年もダメかもしれない。
9.<日除け>
ヒヨドリバナのプランターを、食堂のガラス戸外に置いている。左側の隙間から段差を越えて、ヨロヨロと老人は出入りしている。草丈150センチ。
ヒヨドリバナは花期が長いので、花束のまとめ役として重宝している。昔はよくカスミソウが増量剤的に使われていたが、今はあらかじめ漏斗状の包み紙に印刷してあるそうな。カスミソウは絶滅したか?
紅白の小菊に黄色のフリージアの花束は一年中あるけれど、ヒヨドリバナとアカマンマとノゲシなら秋の風を室内に持ち込める。
庭の雑居植物−2 2019 9月
キンミズヒキと、手前は大木になろうと努力しているノゲシの仲間。
ノゲシは1.5mにもなろうとしており、太い幹が伸び続けているが、
一向に花の咲く気配がない。どういうつもりなのか?
10.<花時を合わせるのはむずかしい>
ノゲシは遠くからもよく目立つし、よく見るととても美しい。
小菊のように一斉に花開くわけにはいかない。茎の頂点に数個のつぼみがかたまってついているので、それが1~2輪ずつ、1日おきに、という具合。タル型のつぼみも愛らしく、見どころだ。
そこで、何本か採って、水に入れておく。
毎日新しい花が咲いて、何日か楽しめる。
花屋の花と違って、太さも花の付きぐあいも違うので、好きなようにハサミを入れて、ポップな形にするのも面白い。
追記: 花の大きさはたいして変わらないが、茎の太い種類は昼過ぎに閉じてしまうのに、細い種類は日中ずっと咲いている。他にも変種があるらしい。
<テーブルに向かない花>
満開のヒガンバナ(マンジュシャゲ)は青空だけがお似合い 9月
ヒガンバナには「借り葉」(いけばな用語)が成り立たず、つまり自分の葉っぱさえも同席?を許さず、他の植物とも合わせようがない。お決まりの枯れススキや種になったワレモコウに囲まれても「フフン!」という雰囲気だし、反対に、力士みいたいな枯木の根っこを花器にしても、なんだか流れ着いた花束みたいに元気がない。(これは自分で生けたわけではなく、NETの諸先生の作品を見ての正直な感想)
で、うちの庭で今年一輪だけ咲いた(残りの球根はコガネの幼虫に食われた)ヒガンバナを、細長いビンに入れてみた。太く長い茎と花だけ、アルコール漬けの標本みたい。まだ咲き初めだから可愛げがあるが、反り返って燃えるような満開の花であれば、ご機嫌なはずがない。。
赤い色がバックの青い布に映えているところを見ると、秋の青空だけがこの花を生き生きとさせるようにも思える。ヒガンバナは室内に持ち込むべからず。
丘の上のみごとな群落を写真に撮るだけにしておこう。
オオバコ
オオバコはめっぽう丈夫な草だということは知っている。子供の頃、丈夫な茎をからませて双方が引っ張る「相撲取りあそび」をよくやった。
でも、生薬であり、俳句の季語や家紋にと由緒ある草だということは知らなかった。
外来種のヘラオオバコの花や実には見た目の面白さがあるが、このオオバコは鑑賞目的で摘んで帰るようなものではなさそう。
人が踏み固めた地面に生えているのを堀りとって金魚鉢に入れてみた。根っこの張り具合がすごい。中国名を車前草というのも肯ける。ワダチの跡から起き上がるイメージだ。
11.<ナンテンハギは、野菜の仲間に入れよう>
ナンテンハギ:豆科、ソラマメ属。アズキナとも言う。若葉をおひたし、ごまあえにすると美味だそうな。
春に根元から若葉が放射状に100本以上も生えてくるが、そのまま秋まで置くと、花は咲くけれど、葉がくたびれて黄ばみ、シミだらけになる(左の束)。古枝の間に遅れて出てきた枝があり、このほうは葉も花もみずみずしい(右の束)。そうだ、来年からは若芽のうちに全部ごまあえで食べてしまおう。刈り込んだところから2番枝がでて、花もたのしめるぞ。
12.<秋草の盛り合わせ>
アカマンマ、ヒヨドリバナ、セイタカアワダチソウ、ワレモコウ、これらを銅の湯豆腐鍋! に盛り合わせてみました。(アワダチソウ以外はキツネの庭で保護?されたもの)
本来の秋の野原はさびしいどころではなく、春に劣らずとても賑やか、と言いたいところだが、七草はおろか空き地にはススキやオヒシバの類、花といえばセイタカアワダチソウくらいしか見当たらなかった。アカマンマもノゲシもヒメジョンも、カラスウリも、車道や歩道の縁や、(幸いにして)手入れの悪い法面で生き延びている有様。
よく林縁の植物というが、林の暗がりをさけて、良く日の当たる縁の部分に生える草のことで、むかし見かけたツリガネニンジン、リュウノウギク、ワレモコウ、コウヤボーキ、フジバカマ、オケラ、アキノキリンソウ、湧水の傍らのツリフネソウの群落、等々を思い出す。これ等は昆虫や小鳥や風との係わりによって株をふやしてゆく。ところがススキや葛の類は地中の根がしっかり残って刈り込みにも耐え、旺盛に広がっていく。武蔵野がこの2強だけで占領されたらどうしよう。
畑への侵入だけを恐れて「駆除指定植物」をやたらに増やすな、と言いたい。虫や小鳥やコウモリまでもがいなくなってしまうかも知れない。外来種排除ならば、店売りの洋花がそこら中で野草化しているのをほっとくのはなぜか。根絶やしにするため年二度刈りを奨励している例もあるが、美しい水田と刈り込まれた畦道、オギ、ススキ、オヒシバ、エノコログサ等「イネ科植物の天国」みたいな日本はさびしすぎる。
万葉版 秋の七草: ハギ、ススキ、クズ、ナデシコ、オミナエシ、フジバカマ、キキョウ
昭和10年、佐藤春夫選 秋の七草: カラスウリ、ヒヨドリジョウゴ、アカマンマ(いぬたで)、マンジュシャゲ(彼岸花)、ツリガネニンジン、ノギク、ミズヒキ
キツネとしてはヒヨドリジョウゴの代わりにヒヨドリバナを入れたら満点、大賛成というところ。
来年はもう無いかもしれない道路の野草、法面のつる植物。9月末、野草の秋も終わりに近い。
13.ひっつきむし
ヒッツキムシと言えばオナモミだが、これがどうしても見つからない。調べてみたら、何と絶滅危惧種なんですと。あのイノシシみたいなころっとした、どこにでもある草と思っていたのが・・
代わりに眼鏡を連ねたようなヌスビトハギ(強力なマジックテープみたい)が早速取り付いてきたので、ジーンズの生地にキツネを描いてみた。もう一つはキンミズヒキの実。
ヌスビトハギはどんな布にもしっかりひっつくが、とりわけユニクロの軽量パンツなんかは大好きらしい。家に帰り着くころは、実の方は衣類にすっかり移り終わって、裸の枝だけが手に残るしまつ。また出直しだ。
14.<ハマエノコログサ>
10月1日: 夏中大繁殖していたエノコログサの枯れ枝の間から、「今度はボクの番」とばかりに15~20センチの小柄な可愛いネコジャラシが生えてきました。もともと浜が好きなようですが、海辺の在来野草を追い出したり、今はどこにでも進出しています。
このように、イネ科の野草は他の弱い草を滅ぼして独り勝ち、というように思えます。
(ところでみなさん、投票に行きましょう。
一人勝ち政権をのさばらせておいては、未来の子供世代が失望するばかりです。健全保守と健全民主が活発な議論をする、ただそれだけでもいいからと願っています。それは民主主義の基本中の基本でしょう)
コラ、キツネ!また説教をするな!
はい、変な例えに使われてハマエノコログサも大いに迷惑でしょう。薄紅の穂が朝日に透けて実に美しい。
15.草もみじ 1.アカマンマ
野草とのお付き合いはまだ終わらない。アカマンマでも茎と葉が赤くなる種類と、ならない種類を見かける。単なる環境の違いだろうか。
16. 草もみじ 2. オオバギボウシ
11月 19日 リュウノウギクも咲き終わり。
17. 10月30日 カラスウリの実
台風一過の秋空の下、カラスウリを「ゲット」。やったあ! これで今日一日楽しく遊べるぞ。
種を播いて育ててみるのもいいな。
11月5日 追記:
今日同じ場所を通ったら、ついに「手入れ」が入って、いくつものカラスウリが道端に放り出してある。山のような葛のつると一緒に。夏の終わりには葛の花のいい香りが漂っていた場所だ。今はハゲた斜面の下に陰気なヒイラギの垣根があるばかり。
この土地の主が亡くなった、それで近々造成されて売りに出される、のに違いない。
(以前にキツネが採集したカラスウリの花は、造成地の土止めコンクリートの水抜き穴(塩化ビニールの管)から伸びていた。土中に生き残った根っこから、光を求めてようやくたどりついたのがこの窓だったらしい。つる植物は強い)
17.リュウノウギクと小菊 11月1日
この白菊はリュウノウギクで、自宅で育てている方から1枝いただいてきたものだが、赤紫のは園芸種の所謂小菊。並べてみると、それぞれの良さがわかる。
花束の中で小菊は鮮やかな色の塊として鑑賞されるのに対し、リュウノウギクは他の草の秋色を引き立て、かつ自分の草姿のよさと純白の花をくっきり目立たせ、快い調和を生み出している。
細い体で倒れがち、他の草に埋もれてしまった美しいリュウノウギク、本当にもったいない。
でも、その清らかな美しさと幾分薬くさい名前故に、世俗を寄せ付けなかったとも言えるだろう。
もう一つの野性菊であるノジギクの場合は関西専用ブランドとなり、兵庫県の県花となっている。(野草の保護は大事だし、県花も結構だが)最近の県立障害者支援施設での暴力事件でノジギクの名が広まってしまったのは悲しい。
昔はノコンギクやリュウノウギクが野原で風にゆれていた。手作業で草刈りをする人は、この美しい花を根こぞぎにするに忍びず残したものらしい。
雑草の名目でチェーンソーや農薬のえじきになり、それに続いて虫や鳥、すべてが国策農業の犠牲になるのか、とキツネは恐れる。
19. ナミアゲハの幼虫とサンショの木
親チョウがたまごを産むところを観たが、
ちいさい木には1〜2個だけ。
せっかく終齢幼虫にまで育ったので、
鳥に食われないように、室内に入れておく。
夜中に撮影。
この美しい黄緑は、一度見たら忘れない。
ナミアゲハの幼虫は、サンショを食べ
つくしてハラペコらしい。急遽キンカン
の苗を買ってきた。しばらくあちこち
舐め回して考えているようだったが、
やがて食べ始めた。やれやれ一安心。
(葉っぱの陰の虫さんに光をあてるの
に、画用紙のレフ板をあてたり、
四苦八苦)
サナギになった。
けれども、18日過ぎても羽化しなかった。
3.5センチと小さいし、栄養不足で死んで
しまったのかもしれない。
やはり、途中で食草を換えてはいけなかっ
たか。
でも、筍の時期を過ぎるとサンショは園芸店
に無いし。
何とも心の痛むことではありました。
サンショはすっかり裸になってしまったが、すぐに脇芽が
伸びて、元気に
育っている。
これも昨年勝手に
庭に生えてきた
ので、ひろって鉢
植えにしたもの。
後日談 9月
クイズ 左の写真に、ナミアゲハの幼虫が
います。さて、何匹いるでしょうか?
答え・・5匹
サンショは上の写真の小さな苗で、親御さん
はよほど食草がみつけられなくて、仕方なく
5個も産みつけたんでしょうが、近くに
サンショはないし、いずれ鳥のエサになるか、
ひからびてしまうでしょうねー。罪なことを
しました。(食物連鎖の一環さ、などと言わ
ないのが、素人ウオッチャーの証拠)。
20. ツワブキ
11月18日
ツワブキの花は、晴天や曇りでも白飛び
してうまく映らない。雨の日に限る。
21. 12月6日 遊水池のススキ
遊水池が干上がって、底一面のススキの穂だけが冬の風にゆられている。この辺りでは唯一の繁殖地だ。キツネがこれまでずっと悪者扱いしてきたススキだが、空き地の二度刈り条例によって、そのススキさえも種を実らせることがむずかしくなった。一度目には夏に伸びて花咲く野草を駆逐し、それを食物とする様々な幼虫と、蜜を吸いにくるチョウや昆虫や蛾を追い払い、また二度目には秋に実るはずの種を刈り取って、秋に鳴く虫の住処や小鳥の食物を奪ってしまう。
大正、昭和の外来植物の中には、「法面の緑地化のため」とかの名目で輸入されたものもあるのに、今になって「外来植物の脅威」とか「日本固有種の保護を」という声も聴く。しかしその固有種が生き残る環境は既に破壊され、勢力の強い外来植物(今年で言えばブタナのような)が法面を占領している。
この遊水池では、数年前にはセイタカアワダチソウ、去年はブタナが、そして今年はススキが占拠して、そのうちのブタナは二度刈りにもめげずにしっかりロゼットを広げているから、多分来年も法面の夏の王様になるだろう。ススキはどうなるか。お月見のころには若い穂がチラホラ見つかったが、その後刈り取られて根だけになり、熟してほうけた姿は遊水池の中にしか無かった。
日の当たる草原の中をハイキング道がなだらかに続いており、子供連れでのんびり歩ける、そんな
ところは日本の山には少ない。里山も姿を消し、小川の土手もなくなった。アゲハチョウが庭で見かけなくなり、鳴く虫もいなくなった。さびしい限りだ。
以上でこのシリーズはおしまい。
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