二枚舌に騙されるな
🦊: ある中学生の意見。「核廃絶と言ったって、大保有国の
アメリカが、率先して自分のとこの核爆弾を捨てなければ、
上手くいくわけないでしょ?」と。とても真っ当な意見です。
狐もそう思う。
このところ、「ロシアの二枚舌」という、世界的な評判が
盛り上がっているが、どうしてどうして、アメリカの(また
その他の保有国の)二枚舌も、相当なものだ。
「戦争の記憶を飴玉のようにしゃぶる人たち」の中で引用した
“ション・ダワー著=戦争の文化“によれば、・・
「ヨーロッパからの亡命科学者からなるエリート集団は、新たな
集団破壊兵器の時代を築いた。彼らは爆発をしっかりと観察した
が、彼らに見えなかったのは、正確には一体どういう人たちを、
こういう機会にどれだけ殺戮するのか、ということであった。
だが、彼ら科学者も、米英の指導者たちも、新兵器が世界を
変えるほどの大破壊をもたらす可能性を、すでに認知していた。
例えば、7月16日の原爆実験に立ち会ったトーマス・ファーレル
准将は、その場で神性、破壊、破滅といった言葉を思い出した。
「長く続く恐ろしい轟音、この世の終わりの警告。ちっぽけな存在
である人間が、全能の神のみに許された力を弄ぶ。そんな冒涜を
犯した。・・我々はそう思わずにはいられなかった」。
また別の科学者は、「およそ想像できるかぎり、これは世界の
終末に最も近い」と述べた。
英国のチャーチル首相は、ポツダムで、原爆実験成功の知らせを
聞いて、「神の再臨だ。天罰のための」と言ったという。
トルーマンは、7月25日の日記に、「それは(ソドムとゴモラの
民を全滅させた)天からの火かもしれない」と書いた。
「死神となった」政策決定者、軍の将校たちは、世界の終末の予感を
抱きながら、キレイな言葉でそれを包み、心で打ち消して済ませよう
とした。彼らは(中堅以下の科学者の要請にもかかわらず)投下目標
の検討もせず、2発目を投下する前に、動揺した日本の指導者たちに
時間を与えるべきかどうか、それも検討しなかった。・・
全体に最も重要視されたのは、「完璧な実験に必要な条件、つまり
原爆の投下以前に空襲を受けておらず、かつ原爆の威力ができるだけ
明確に判定できるよう、被害が市街地の範囲に集中するサイズ」の
都市であることであった。
科学者、兵器設計者、爆弾製造者、戦争立案者は、爆撃の対象は
「軍事目標」だと言い続けた。「軍事目標」とは、広島、長崎以前に
64都市を焼き払った絨毯爆撃の中で、彼らが磨き上げた心地よい
偽装語であった」。
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🦊: 今、プーチンは側近に、例の核のボタンの入った黒鞄を、
これみよがしに持ち歩かせているらしい。これに対し、バイデンは、
「核兵器の近代化」のため、軍事予算をさらに増額する・・とか
つぶやいたらしい。米国議会は、強力な軍需産業からのプッシュ
に応じて、それを呑むのか?
ウクライナは、欧州での「火除け地」、つまり延焼を防ぐために設けた
空き地とされ、隣から手を伸ばして放火したロシアは、最初から
焼け野原にするつもり、住民を殺して無人とし、土地の名義をロシアに
変えたい。だから「工業施設」や「ナチスのアジト」など軍事目標を
やっつけると称して、病院や保育園や民間アパート、ついでに原子力
発電所まで標的にした。逃げ道を塞がれた多くの民間人が殺された。
フィンランドやスェーデンは、これを見て、表向きの中立ももはや危ない、
いつキチガイに放火されるかもしれないと、慌ててNATO加盟を検討中
という。
さて、NATOとは、隣りの日除け地が放火されても、ただ見物している
だけなのか?さらなる延焼を防ぎ、加盟国を護るために、放火犯をとり
押さえようとはしないのか?と、中学生きつねは疑問に思う。
国際軍事裁判所が開廷する前に、無人のウクライナはロシア領になって
しまうだろう。それこそがプーチンの「戦果」であり、「勝利」だから。
NATOという組織も、その目的が今ひとつはっきりしない。少なくとも
欧州全体の安全保障のためというのではないらしい。ロシアの疑心の通り、
「大国アメリカの権威保持のため」でなければいいが。
さて、日本は「侵略戦争をしない」国であるため、火除け地並みの無防備
だ、という議論が起きつつある。中には核武装を急げ、などという一派も
いる。だが、核大国アメリカでさえ、欧州の火つけ騒ぎを防げなかった、
今回の意味を忘れまい。核は何の「抑止力」にもならないんだ。核兵器
それ自体が、「死神の仕掛けた詐欺」だから。
では、日本は詐欺被害者かというと、そうとばかりは言えない。しかし
素朴なロシアのお年寄りと同様、ニセ神さまを担いでそのお恵みをありがた
がっている限り、どこかの餌食になってしまうかも。
日本政府は原爆の悲惨を「世界中に訴える事業を盛んに行ってきた」だって。
日本政府の嘘つき、二枚舌!
巨大な三人の火付け犯(ロシア、中国、北朝鮮)から身を守るには、
また、これらとどううまく付き合っていくべきか、自衛の方法を含めて、
議論を尽くすべし!近々に始まるスイスとの外相会談に、きつねは
大いに成果を期待している。
2022 4 19